お知らせ

2013,08
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日本経済新聞 8/17

2013年8月17日 / 日本経済新聞 地方経済面  に艸方窯(そうほうがま)が掲載されました。

「地場産品 市場を作る」

光る洗面器で反転攻勢

 日本六古窯の一つとされる高級陶器ながら、タヌキの置物や植木鉢のイメージも強い信楽焼。生産量は最盛期の5分の1にまで落ち込み、廃業する窯元も多い。「何か特長のあるモノを作らないといけない」。そう考えた艸方窯(そうほうがま、滋賀県甲賀市)の奥田芳久代表は昨年末、光る洗面器を完成させた。

 液体状の粘土を型に流し込む手法で内部を空洞にし、そこに発光ダイオード(LED)照明を設置。点灯すると厚さ1センチほどの陶器を光が透過する。大きさやデザインで4タイプを商品化し、事務所や飲食店向けに10台ほどを販売した。問い合わせも多く、欧州からの照会も舞い込む。

 洗面器が光るのは、特別な粘土を使って仕上げたからだ。通常よりも石英ガラスが多い粘土で、滋賀県の信楽窯業技術試験場が2009年に開発した。

 「新しい素材だけに扱い方が分からず」、商品化は難航した。通常の粘土と同じに扱うと形にならないし、焼成温度も通常より高い。何とか形にできても、窯焼きするとヒビが走る。試行錯誤の連続で、気付いたら2年半が過ぎていた。

 だが扱い方を解明できたら、それが強みに変わり、透光性を持つ様々な陶器の開発につながる。「洗面器の商品群を広げる一方、インテリア商品として壁材などにも応用していきたい」。奥田代表の挑戦は始まったばかりだ。(本文より)